満開の桜「ソメイヨシノ」が、神奈川県川崎市の農業用水利施設「久地円筒分水」をのぞき込む。樹齢は約90年。地域の水田農業を支えていた頃の円筒分水を知る“生き証人”だ。今年は例年より10日ほど早い3月15日に開花した。
円筒分水は農業用水を複数の水路に分ける水利施設だ。久地円筒分水は1941年に建造。江戸時代に築かれた「二ケ領用水」から引き込んだ水を中央部からあふれさせ、四つの水路に分水。地域の水争いの解決に役立った。桜は円筒分水の完成後、地元住民が移植したといわれている。
農業用としての役目を終えたが、貴重な建造物として国の「登録有形文化財」に登録。地元住民でつくるボランティア組織「久地円筒分水サポートクラブ」が、かつての姿を伝えるため、清掃活動をする。代表の吉田威一郎さん(78)は「地域農業の歴史にも興味を持ってほしい」と話す。
桜と農業の関係は深い。花は農作業の合図となったり、農村の魅力を高めたりしている。満開に合わせて紙面で紹介する。新型コロナウイルスの感染拡大で花見が自粛される中、紙面で楽しんでほしい。(随時掲載)
日本農業新聞
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